だいぶ弱った母の背中をさする。 手を握ると、骨ばって弱弱しいが温かい。安心するよ。 と言ってくれたが、 そうじゃない。 僕が安心したいのだ。 母の手を握る。 母の背中をさする。 できることは少ないが、 明日を待つ。 今日よりいい日になると願って。

僕の母は末期がんです。 会社を退社し、4カ月ほど北海道からの旅を終えて家に戻り、すぐのことだったと思います。 首にしこりがあるという母を、慌てふためき病院に行かせました。 ネットで調べるとやはり誰しもが疑う病名が並びます。 その時ある種の覚悟と…