高畑勲
先日亡くなられた高畑勲監督。
僕が初めて触れたのは、やっぱりきっと【火垂るの墓】だったと思う。
ひたすらに悲しい気持ちになって、二度と見たくないと子供心に思う映画だった。
結局ジブリ作品で(最近のは除く)一番見ていない作品になったと思う。
あの時の感情は大人になっても拭えないんだな。
戦争映画はやはり何度も見たいと思えない。
意識していないという意味では【赤毛のアン】とか【母をたずねて三千里】とかもそうなるのかな。
そして意識してみた高畑さんの作品で、一番好きなのは【おもひでぽろぽろ】そして【平成狸合戦ぽんぽこ】
と続く。
おもひではもー何回見たかわからない。
きゅりがほんと美味そうで。
ぽんぽこもそう。
ハンバーガー美味しそうだったな。
何回も見直しては、映像に引き込まれていた。
高畑さんの作品を見ていつも思うのは、『距離感』だった。
作品との距離感がとてもちょうどいい。
どの作品も入りこみすぎず、少し引いた場所で、僕たちを作品の中に送り出すような。
保育園の園長先生のような目線で。
その距離感が作品の最後になんとも言えない余韻を残している気がする。
とても心地よい。
おもひでは不思議な映像で、過去と今を揺れ動く女性の心を描いていた。
最後車に乗って戻っていくときの覚悟の視線は、まさにもう手を離れていた。
残された少女が僕たちのようでいて、今見直すと実は車で去っていくのが自分になっていたりする。
ぽんぽこは狸にぐぐぐーっと寄っているようで、車にひかれて死んだりしながら、図太く生きてる現実をさらりと伝えて終わる。
やさしさの距離感が見終わるとじわり来る。
最近の作品で言うと【かぐや姫の物語】は見終わった後やり切った感を感じた。
作品の感想じゃなくなぜかやりきったなぁというのが心の中をしめていた。
遺作になってしまったわけだけど、
あのなんとも言えないやさしさと冷たさが一緒にあるような不思議な感動。
僕は忘れません。
そしてぶっ壊れて見れなくなってうっぱらったLD-BOX。
DVDでいいから買いなおすかな。
もう一度、
いや何度でも観たいと思うから。
2018.4/16